アーティスト シュシ・スライマンさん

マレーシアのアーティスト、シュシ・スライマンさん。尾道での10年にわたる創作活動を紹介する「NEW LANDSKAP ニューランドスカップ シュシ・スライマン展」、尾道市立美術館で開催中(2023年11月12日まで)

シュシさん、尾道市立大学 芸術学科 小野環教授、美術館 学芸員 梅林信二さんに展覧会についてお聞きしました。(記事はゲストコーナーの書き起こし 放送日 2023年9月19日)

パーソナリティ(以下略): 尾道市立美術館 学芸員の梅林信二さん、シュシ・スライマンさん、そして一緒に活動されている尾道市立大学 芸術学科 教授 小野環さんにお話しを伺います。小野先生には通訳もお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。

梅林さん・小野さん(以下敬称略): はい、よろしくお願いします。

まず梅林さん、展示の概要について伺います

梅林: はい。シュシさんはマレーシアの首都クアラルンプールを拠点に活動をされています。東南アジアを代表するアーティストと言っていいと思います。
2013年の11月1日にAIR Onomichi (小野さんが主催するアートプロジェクト。国内外の作家が尾道に滞在しながら制作を行うプロジェクト。Artist In Residence)で、尾道に招聘されました。
今年2023年までに10年にわたるアーティスト・イン・レジデンスで、尾道の旧市街地に立つかつての八百屋を舞台に、廃屋に眠る物を発掘し、さらにその廃墟の全ての要素と関わり、地域の職人、工芸家、アーティストとのコラボレーションを通して、廃屋の再生、転生を試みることで慢性化している尾道の斜面地の空き家問題に対する新たな創造的示唆を示してこられたんですね。
この秋、この10年にわたる集大成を尾道市立美術館でということで、この土曜日(16日)にオープンしまして、おかげさまで3日間でトータル1000人を超える入館者数を記録しております。

日本の方も本当に皆さんご存知で、トークショーにもたくさんの方がいらっしゃってました

梅林: そうですね。アジアの作家としては初めての、東京国立近代美術館の収蔵作家にもなっているアーティストになります。

小野先生にはプロジェクト、またシュシさんについても伺いたいと思います

小野: フェイクマイグレーションっていう言葉がキーワードとしてありまして。訳すと偽りの移民とか、偽の移民みたいな感じになるかなと思うんですけども。シュシは、2013年から10年間ぐらいずっとマレーシアとかと、行ったり来たりしながら創作活動を続けていると。本当に滞在してるときは近隣住民の1人みたいな感じで、植物を植えたりとか、ガーデニングしたりとかですね。本当、掃除したりもしながら、いろいろプロジェクト自体をじわじわと丁寧に進めてきているっていう感じになっています。そのきっかけになったのは2013年のAIR Onomichiでの招聘なんですけれども、実は個人的には1998年から知っててですね。守屋っていうところで25年前からアーカスっていうレジデンスがあってですね、そのときからシュシのことは知ってて。非常に気になる作家だなと思って。自分たちもAIRを始めたときに、空き家とか廃墟で活動アーティストを呼んで活動していこうって思ってたもんですから。その場所に非常にマッチするんじゃないかなって予感があったんですね。それをもとにシュシに、何年ぶりだったかな、久しぶりにメール送ったら「ぜひ、よし、じゃあ来てみたい」っていう感じで、尾道に来てくれることになったっていうのが最初の経緯ですね

10年間、尾道とマレーシアを行ったり来たり。どっちが故郷か分からないくらいというお話もありました

小野: はい、そうですね。まず尾道の駅に着いて海が見える風景が非常に気に入った、すごい懐かしい感じがしたと。さらにちょっと山の丘の上に登ると、さらに尾道が好きになって、さらに上に登ると、さらになんかいい感じがしたっていう話で。本当に最初の一目ぼれって言うか、そういう感じだったんだなと。すごく面白かったのは、大体アーティストが尾道にやってくるといろんな場所を案内して候補地を巡って、どこで創作活動したいかって選んでもらうんですけど、自分たちが選んだところではないところを選んで活動を始めたのが今のシドラハウスなんですよ。それもすごく面白い偶然で。シュシさんはそのときに、なんか誰も手つけてないしそのままの状態で放棄されてるから気になったって言ってたんですけど。今になると、理由はそれだけではないっていう感じがしてですね。逆に考えていくと、いろんなことの辻褄が合うんですよ

マレー様式のバルコニーを備えたシドラハウス


梅林: 壮大な物語のはじまりですよね

小野: 偶然、気になって選んだけども今考えると整合性があるんですよ、逆に

縄文時代についてのことも関係が?

小野: そこも一つあるような気がしますし、やっぱりもう1人の存在としては村田四郎(「シドラハウス」の家主の先祖)さん。村田四郎さんがシュシを呼んだんじゃないのかなって

シュシさんに今回の展覧会への思いをお伝えいただければ

シュシ: I think this is my first time ever that doing my own art production that have a very special energy. I assume the energy from Onomichi kind of very beautiful landscape and people. This particular exhibition I think such a huge idea which at first I thought is kind of impossible not to have stress. But such a very beautiful and miracle situation that the production somehow become a very memorable for everybody. And everybody in the team texted me personally like a kind of unforgettable memory. So I assume after finish the installation, me myself assume that Onomichi have a very special power of sharing. And also I think because of the beautiful landscape, the strategic water and mountains and everything make people more calm and gentle and beautiful in heart. So this is really first time ever that doing art in a very beautiful energy and manner with everybody in my life, in my career.

小野: 長い話だったんでちょっと端折って言うことになるんですけども、自分の人生の中で、今までいろんなアートプロジェクトに関わってきた中で、本当に最も美しい素晴らしい経験ができたっていうふうに言っていて。やっぱりこの尾道の風景ですよね。山があって、水があって、そういったとこに住んでいるってことによって、非常に人々っていうのがすごく心穏やかで、非常に何て言うか丁寧というかジェントルで、すごく美しい心を持っていて。本当に何か特別なシェアする精神みたいなものを皆さん持っていて。かなり設営自体は大変だったり、展覧会の実施に向けて困難なことっていっぱいあったんですけれども、多くのアシスタントの人たちが個人的にメッセージを送ってくれたりとか、本当にそれぞれ忘れがたい印象的なことにもなっていて。本当にちょっと奇跡的に出来た美しいプロジェクト、自分にとっての特別なプロジェクトだったっていう話をしてくれましたね。

本当に普通の展覧会、美術館で行われるものとはちょっと違うという

梅林: そうですね、尾道市立美術館にとっても最大規模の展覧会です。関わってくれた人数、関わっていただいたスタッフ、これも最大です。うん。だから過去最大のですね、そういった展覧会と言えるんじゃないかなと思いますね

アパート解体廃材で同じ高さの壁を再構築


梅林さんからもメッセージをお願いします

梅林: そうですね、展覧会名にあるニューランドスカップ、これ新しい風景を意味するわけなんです。まさにこの展覧会場というのはシュシさんが提示する新しい尾道の風景ですので、これを本当に楽しんでいただきたいなと思ってます

小野先生、関連イベントについてとメッセージを

小野: 今後いくつかイベントがありまして。今度の土曜日、9月23日にはシュシのプロジェクトを空き家再生の側面から読み解いていくトークがありまして。シュシと私、それと空き家再生プロジェクト豊田(雅子)さんが登壇されて話をします。23日土曜日の午後2時から4時です。もう1回トークがあって、それは尾道の歴史的な側面についての話になるんですけれども、10月1日にシュシと梅林さん、学芸員 西井(亨)さんと私が登壇してお話をすることになります。それとツアーがもう1回。9月24日日曜日に予定しております。最後にメッセージとして、今、SNSがあったり、いろいろ情報があって、何かぱっと見てわかるつもりになっちゃうかもしれないと思うんですけども。シュシの展示の場合、すごく細かいものの一つから大きな規模の表面、あるいは風景まで体感しないと、何か感じ取れないものの重要さっていうのを示しているのではないかなと思います。本当に大小様々なスケールがあるんですけども、あるいは目に見えるものから見えないものまでいろんなグラデーションがあると思うんですけども、それらを現場で体感してほしいなっていうのがありますので。美術館もそうですし、プロジェクトサイトが街中に点在してるわけですよ。それらを同時に見ることができる展覧会も結構、稀有なものかなと思います。ぜひ両方行っていただければいいかなと思ってます。

最後にシュシさんからもメッセージを

シュシ: My message? I think my show is tribute to Onomichi city and this is celebration for all so with the Jomon that came home come home and also my contemporary kind of art form I hope that people in Onomichi or in Japan itself can enjoy the artwork that I somehow compose the knowledge for 10 years

小野: 最後に、本当に尾道の人々、みんなを祝福するものとしてあってほしいってことがすごくありますし、縄文の尾道の先人を実際に尾道に戻すことができたってことも大きいことなんで。本当にこの10年の試みをギュッと皆さん見てもらいたいと

シュシ: It’s artists’ dreams to contribute to the society.

小野: アーティストの夢として社会に貢献していくっていうことは本当に大きいことなので、今回本当その助けになればっていう感じです。

京都大学にあったものが、今回、尾道市立美術館に展示されていますね。
それが何かは実際に皆さんに実際に行っていただいて確認してもらいたいなと思います。今日はありがとうございました。

梅林・小野: どうもありがとうございました

シュシ: Thank you so much

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