「山火事を防ごう」尾道西消防署 溝川拓郎さん
- 2025/2/3
- 尾道のニュース
「山火事を防ごう」というテーマで、潮風スタジオ79.4(月)担当の石川のりこが尾道西消防署の溝川拓郎さんにお話を聞きました。(以下敬称略)
石川:今回のテーマは「山火事を防ごう」ですが、たしかに1月は山火事のニュースが多かったですね。県内では江田島市で発生しています。アメリカ・ロサンゼルスでは大規模な山火事になっているようです。山火事の発生状況はいかがでしょうか?
溝川:林野庁によりますと、令和5年度、国内では、1,299件の林野火災が発生しています。これは特別令和5年度の発生件数が多かったわけではなく、毎年1,200~1,300件の山火事が発生しています。尾道市では、平成14年に鳴滝山で30ヘクタールを焼き、因島や生口島でも、平成16年に391ヘクタールをはじめ、3度の大規模な火災が発生しています。
石川:では、山火事のおきやすい時期はいつなんでしょうか。
溝川:時期別でみると、1月から5月にかけて集中していまして、これが山火事の発生件数の約7割となっています。尾道市でも、昨年は林野火災が4件発生していますが、すべてが1月から5月の期間に発生したものになります。寒い時期に山火事が集中する要因として、環境的な要因としては風が強く、空気が乾燥していることなどが挙げられます。また、人的な要因として、農作業に由来する野焼きの燃え広がりや消し忘れがあげられたり、近年のアウトドアブームも相まって、バーベキューやたき火などの残り火からの出火があげられます。
石川:特に空気が乾燥する1月から5月にかけて、注意が必要なんですね。
溝川:はい、発生した山火事のうち、原因が明らかなものでみれば、「たき火」が 約30%で最も多く、次いで「火入れ」、「放火・放火の疑い」、「たばこ」、「火遊び」の順になっています。まれに落雷などの自然現象により発生することもありますが、山火事の大半は、「人間による不注意かつ危険な行動」が原因となっています。
石川:多くが人の不注意によるものなんですね。では、山火事の特徴はどういったところでしょうか。
溝川:山は街と比べて人の出入りが少ないので、発見や通報の遅れから初期対応が遅れがちです。さらに、地形や気象状況により火災の状況が大きく変わることがあります。また、山の中は消防車が近くまで接近できないことが多く、消火する水も乏しい状況です。さらに、足場の悪さなどにより隊員の体力の消耗が激しく、夜間の活動も危険で制限されるので、消火活動が困難になることが予想されます。
石川:山火事は、消火するのが難しいことがよくわかりました。それでは、山火事を予防するには、どうしたら良いのでしょうか。
溝川:枯れ草等のある山裾など、火災が起こりやすい場所では、たき火をしないこと。たき火などを行う際は、消火が完了するまでその場を絶対に離れないこと。空気の乾燥時、強風時には、たき火や火入れは控えましょう。火入れを行う際は、お近くの消防署に必要な届出を行うようにしましょう。さらに水バケツや水道ホースを伸ばすなど消火の準備をした状態でたき火を行いましょう。喫煙するときは確実に消火し、たばこのポイ捨てはやめましょう。
石川:貴重な森林を山火事から守るため、皆さんのご協力をよろしくお願いします。溝川さん、最後に何かお知らせ等ありますか。
溝川:改めてなんですが山火事の大部分は、皆さん一人ひとりの注意で防ぐことが出来ます。貴重な資源を火災から守るため、林野での火気の取り扱いには十分気を付けましょう。あと、自分では消火できないと判断した場合はすぐに119番通報しましょう。本日は山火事をテーマにお話ししましたが、まだまだしばらくは寒い日が続きますので、皆さんのご家庭や職場でも火の取扱いには十分気を付けてください。よろしくお願いします。