空きP 専務理事 新田吾郎さん

尾道らしい町並み、個性豊かな古い建物を守ろうと 活動を続けている尾道空き家再生プロジェクト
2008年のNPO法人化から15年。
NPO法人尾道空き家再生プロジェクトから、専務理事の新田吾郎さんにお話しを伺いました。
記事はゲストコーナーの書き起こし 放送日 2023年7月4日


パーソナリティ(以下P):スタジオにゲストをお迎えしています。NPO法人尾道空き家再生プロジェクト専務理事の新田吾郎さんにお話を伺いします。新田さん、おはようございます

新田さん(以下 新田):おはようございます

P:今日はお越しいただいてありがとうございます

新田:ありがとうございますよろしくお願いします

P:お願いします。あの今年尾道空き家再生プロジェクトは、NPO法人化から15年の節目を迎えられたということなんですね。新田さんは法人化した当時から携わっていらっしゃるんですよね

新田:ありがとうございます。私、向島の出身なので大学出ててUターンなんですけど、その学生の時代にちょっと県外に出てたんですけど、たまたまうちの代表の豊田(空き家再生プロジェクトの代表 豊田雅子さん)と会うことがあって。それから大学の4年生から手伝っていて、大学院生のときが2008年とかで法人格取った年なので。はじめはボランティアで、大学院を出た後は一応仕事っていう形で携わらせてもらってます

P:15年ってすごいですね

新田:長いですね(笑)

P:振り返ってみると、でもあっという間っていう感じでした?一つ一つとしたことをやりながら、15年経ったなっていう

新田:あっというまでもあるけど、その15年前ってもう想像つかないくらい昔の話だなとも思います。すごく昔な気がします

オノツテビツビルヂング(旧小野産婦人科)

P:その間に本当にたくさんの価値ある建物をたくさん再生されていて、先日見学会が行われた旧小野産婦人科、オノツテビルヂング私も見に行かせていただいたんですが、これまでに再生20件?

新田:そうですね、はい。どこまでがうちの再生物件でそうじゃないかってのが難しいんですけど。一応ホームページではそうなってますね

P:すごいですよね。本当に古い物件をとってもモダンに素敵に再生されていて、私、ビフォーも見てたのでもうびっくりしました。こんなに素敵にこんなになってるのかなと思って

新田:ありがとうございます

P:実際、現場ではすごい力仕事だと思うんですが、再生していく現場ではどういうプロセスで作業が進んでいく形になるんですか?

新田:そうですね。あの建物(旧小野産婦人科)は解体の危機にあったんで、まずはそこをどういうふうにすれば止めれるかっていうのをみんなと話し合いながら、オーナーさんにも話をしながら。オーナーさんのご理解が非常にあったので。和作さん(尾道市名誉市民、画家)の壁画もあるし、町のランドマーク的な近代建築であるので、残していきたいっていうのは、まずあって。それを、どういうふうに誰がどうするかっていう部分ですよね。そこを決めていくところが一番大変だったんですけど。それから内装というか、見栄えの話でいくと、元々、産婦人科なので1階外から見ると、縦長の窓があったりとか洋風な雰囲気が出てるんですけど、1回解体してみないとわからないんですよね、中身がどうなってるのか。病院だった部分が本当にもう普通の和室とかになってて。これなんかもったいないけど、この1階を和室のまま使うのは再生したあと難しいなって。とりあえず解体から始めていくんですけど、床上げたりとか壁取っていったら、そのビフォアですよね。手術室、お産室だった場所がちょっとずつ見えてきたんで。もちろんタイルとかボロボロに剥がれてるんですけど、これやっぱ復元した方がいいかなっていう感じで。建物のいいところが見えてきたんで、ここは残していく、復元っていう形で残していこうとか。ここは、もうベニヤとクロスが張り回してあって、剥いでいったとしてもあまりうまくいかないな。じゃあしっかり変えていこうとか。そういう、残す部分と変えていく部分とを解体しながら決めていく感じですね

 

オノツテビルヂング内 和作の壁画

 

P:なるほど。そんな感じで一つ一つ皆さんと相談しながら

新田:そうですね

P:前に住んでた方の荷物がそのまま残ってるみたいな状態のときもあったりしますか?

新田:そうですね。今回の物件の場合は直前まで住まわれてた方がいらっしゃったんで、ある程度綺麗に片付けてはくださってたんですけど。山手の家の場合は、なんなら布団ひいたままとか普通にあるんで(笑)

P:そうなんですか!

新田:はい、そういった場合はね、家財の片付けから始めることはよくあります。

P:いや本当に、かなりの重労働ですね

新田:そうですね。体力いるかもしれないですね

P:これまでに20件というお話でしたが、再生物件の中で特に印象的なものって何かあります? 

新田:これですね、結構難しくて。1個に絞れなくて。例えば私が学生の頃に始めたプロジェクトで、駅裏にある三軒家アパートメントという、何かいろんなお店が入ってるんですけど、あれ私の学生のときのアイディアで始めたので。そういった意味で印象はあるし、あなごのねどこ、商店街のあくびカフェの方は、初めて空き家再生がお金しっかり使って、借り入れもして、大きな収益事業になる予定の建物だったんで、そういった意味で心に残ってますし。同じことを繰り返しやってないので、それぞれの物件にいろんな印象はあるんですけど

P:思いがありますよね。あなごのねどこもテレビとかでも度々紹介されて。

新田:はい、ありがたいですね

P:すごく脚光浴びましたよね。空き家再生プロジェクト自体にも、すごく光が当たったというか

新田:そうですね。まあ、我々、基本的には坂と路地でコソコソやってるのが基本的なスタンスなんですけど。あなごのねどこもオーナーさんが町のために使ってほしいっていうことで、最終的に巡り巡って我々のとこにお話が来たんで。尾道にも京都みたいな形で間口が狭く、奥行き長い、いわゆる鰻の寝床みたいな物件があるけど、一般的に商店街の物件って奥で生活されてたりとかするので入れないじゃないですか

P:そうですね

新田:我々が活用することで奥まで見えて、可視化できて、入っていただける。そういうのを一番に押し出していくっていう意図でリノベーションしたんです

P:いや本当に、なんかもうびっくりするくらい、センスよく素敵に再生されてますが、新田さんこの活動の中でどういうことを大切に取り組んでいらっしゃいますか

新田:そうですね、三つぐらいあるんですけど。一つは建物をちゃんと生かしながら残していくっていうこと。もう一つはそこで何をするか。単純に何か事業すればいいって話じゃないので、尾道に足りないものだったり、こういうものがあったらもっと尾道を楽しんでいただけるんじゃないか、そういうのをその都度考える。最後は、そこでいろんな繋がりが生まれてくるので、直すときから活用までいろんな方に携わってもらって、空き家を再生して使っていくこと、その雰囲気を町の中で作っていくことが仕事かなと思ってます

P:素晴らしいです。本当にお話にあったように、ただ建物を復元するだけじゃなくて、そこに新たな魅力とかいろんな価値を持たしてらっしゃって。素晴らしいなっていつも思いながら、私自身も、空き家再生の皆さんが蘇らせたカフェで楽しませてもらったりとか。いろんな楽しみをさせてもらって、本当ありがたいなと思います

新田:よかったです。はい

P:また今後、尾道空き家再生プロジェクトとして、町づくりにどんなふうに取り組んでいかれる予定ですか

新田:そうですね、本当にいろんな方のおかげで、15年20年続けてきて。尾道に空き家、有効な資源があってそこを直して、いろんな面白いことをいろんな方がやってる。うちだけではなくて、いろんな方がやってるっていうような雰囲気を作れてきたかなと思う一方で、元々儲かる事業じゃないんで、いろいろやっていくのは結構限界もあるので。自分たちがプレーヤーとして、宿をやったりカフェをやったりするよりも、古い建物の所有者さんだったりオーナーさんに建物を残していただく考えになったとき、相談を受けて、ちゃんとそこをいい形で使っていただけるようなプレーヤーの方を探してしっかりマッチングしていく。空き家バンクの方でそれをやってるんですけど(旧市街地の空き家バンクは市から委託を受けて空き家再生プロジェクトが運営)、平地の方はまだ土地としての価値があるんで、どんどん更新されていくようなところがあるので。それが一概に駄目なことではないんですけど、1軒でも尾道らしい建物が残っていくことが、すごく長く、長期スパンで考えたとき、近所に住まれてる方にとってもいいことかなって思ってるので。そういう形でマッチングしていくことを考えてます

P:素晴らしいです。本当に尾道の街作りの中では欠かせない存在ですね。空き家再生プロジェクトの皆さんは。さっきも言ったように。これで儲けようとか有名になろうとか全然なく、本当に地道な活動をしてらっしゃる中ででも本当たくさんの輪が広がってきてますよね、15年の中で

新田: はい、そうですね

P:これからも応援してます

新田:ありがとうございます

P:また次なる物件も何か予定がありますか?

新田:そうですね、小林和作先生の旧居も今、やってるので。来年の没後50周年に向けていろいろ準備してるので。またそちらの方も来ていただけたらなと思います

小林和作旧居 外観

 

小林和作旧居 室内

P:はい。またその過程などについていろいろ教えてください。今日は本当に楽しい貴重なお話をたくさんお伺いできて嬉しかったです。今日は、NPO法人尾道空き家再生プロジェクト専務理事の新田吾郎さんにお話を伺いしました。今日はどうもありがとうございました

新田:ありがとうございました

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